第1章

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(……ルーファスさまの素顔は、一体どんな感じなのかしら……?)  舞台の幕が下りる中、ヘレナはふとそう思ってしまった。  しかし、それを知りたいとは思わない。ヘレナにとって舞台俳優とは、夢を見せてくれる人たちのこと。  ガチ恋勢と呼ばれる人たちも一定数居る。が、ヘレナはそういうタイプではなかった。 「ねぇねぇ、ヘレナ。この後、カフェにでも行って今日の舞台の感想を語り合いましょうよ……!」  幕が完全に下り、会場内にぽつぽつと灯りがつきはじめた頃。  ヘレナと同じ舞台オタクである友人テレシア・ハルトマンがそう声をかけてきた。  なので、ヘレナは「えぇ、いいわよ」と返事をし、頷いてから立ち上がった。 (あぁ、本当に――)  ――推し活って、楽しすぎる!  そう思いながら、ヘレナは楽しそうに前を歩くテレシアの後を追った。
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