第3章

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 その後、しばらく無言で歩いて、ルーカスがやって来たのは『ガイル』という看板が立てられたおしゃれなカフェだった。  彼に連れられるがまま店内に入って、店員の若い女性に案内されて窓際の席に着く。  女性のおススメのメニューを聞き終えた後、ヘレナはそっとメニュー表に視線を落とした。  メニュー表には、カフェらしいおしゃれなメニューが並んでいる。ケーキや焼き菓子、ほかにもまだまだ珍しい冷たい菓子もある。そのメニューの一つ一つに、視線を奪われてしまった。  ヘレナが悩んでいれば、ルーカスは注文するものを決めたらしい。  そっとヘレナに「決まった?」と問いかけてくる。  なので、ヘレナは頷く。 「じゃあ、注文しようか」  ルーカスはそう言うと、店員を呼び手際よく注文をしていく。それを見て、ヘレナもイチゴの載ったショートケーキと、ミルクティーを注文する。温かいものを注文したのは、少しでも心を落ち着けたかったからだ。 「……あの、さ」  ふと、ルーカスが声をかけてきた。  彼の突拍子もない声かけに驚いて、ヘレナは「ひゃいぃぃ!」と声を上げた。  でも、ルーカスは特に気にした風もなく。 「さっきは、その、ごめん」  しゅんとして、謝ってきた。 「……実は、幼馴染がいてね。見つかると面倒なことになるのは明らかだったから、隠れてしまったんだ」  彼は肩をすくめながらそう言う。  その姿は何処となく頼りない。けれど、ヘレナは別のところに引っ掛かってしまう。 (ルーカスさまは、私のことを紹介できない婚約者、だと思われているのかしら……?)  もしかしたら、ルーカスはヘレナのことを紹介できないほどに、醜い婚約者だと思っているのかもしれない。
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