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冬彦と結婚するときに翼ちゃんに反対されたことが思い出された。
「あの人との結婚はやめたほうがいい」
いつになく怖い顔で言う翼ちゃんにわたしはカチンときていた。ただ笑顔で『おめでとう』と言って欲しかっただけなのに。
「なんで祝福してくれないの!?」
ヒステリックな声を上げるわたしに、翼ちゃんは驚くこともなく、ただ静かに答えた。
「不幸になるって分かっていて祝福なんて出来ないよ」
「不幸になんてなる訳ないじゃない!わたしと冬彦さんは愛し合っているんだから!」
「付き合ってまだ1ヶ月とかでしょ?もう少し付き合ってからでも結婚は遅くないよ」
「わたしは子どもが2人以上は欲しいから30歳までには結婚したいの!」
「30超えて結婚しても子ども2人以上産んでいる人は沢山いるよ?それより変な男と結婚して子どもが出来たらそれこそ地獄だよ」
「でも子どもを産むなら早いほうがいいに決まってるじゃない!それに冬彦さんは変な男じゃないし婚期を逃して子どもが出来ないほうが地獄だよ!」
「たしかに子どもは可愛いけど、子育ては金銭的にも体力的にもすごく大変なことだよ。それに親を殺す子もいれば、成人したら音信不通になって疎遠になる子どももいる。犯罪を犯す子もいれば、引きこもりになって生涯親のすねをかじり続ける子どももいる。子どもがいるから幸せとは限らない」
「そうならないように育てるから大丈夫だよ!」
「子どもは親の思い通りに育たないと思うよ」
「そんなのやってみなきゃ分からないじゃない!」
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