桜色の絆

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 デートの待ち合わせ場所の名前が呼ばれ、気を取り直して外に出た。私と同じようにお花見に来たのであろうカップルや家族連れが沢山電車から降りる。花粉が辛いのか、マスクをしている人も何人かいた。  ピロンッとまたスマートフォンが鳴り、私はポケットからスマートフォンを取り出す。 『あと5分くらいで着けそう』  適当にスタンプを押して返信した。  駅を出ると、すぐに桜が出迎えてくれた。お花見をする公園は駅から近いから、満開の桜が駅からでも目に入った。 「綺麗……」  思わずそう呟いてしまう。私は先に公園まで向かうと、どこか良さげな場所がないか探した。やはり休日ということもあり、公園はいつもより人で賑わっていた。皆、レジャーシートを引いて持ってきたお弁当を食べたり、お酒を飲んで桜を楽しんでいる。  私は空いたスペースにレジャーシートを広げると、腰を下ろした。憲治に場所を取ったとの連絡をし、ぼんやりと空を眺める。お花見にピッタリな快晴だ。こんな空の下でお酒を飲んだらそれは美味しいだろうな。 「綾子ー」  遠くから名前を呼ばれ、私は振り返る。「ごめーん」と言いながら憲治がレジ袋を提げながら小走りでやってきた。 「お酒買ってきた」 「え、ありがとうー!」  憲治が私の好きなお酒を渡してくれると、私たちはお互いに乾杯をしてからプルタブを開けた。口の中に甘い味が広がって、思わず幸せな息が漏れる。 「今日何作ってくれたの」 「見せてあげよう」  私はお弁当箱の中身を「じゃじゃーん!」と言って見せた。サンドウィッチに唐揚げ、憲治が好きなだし巻き卵とその他諸々。 「え、うまそう! ありがとう」 「いーえー」
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