ウェルテルの花

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 つまらない業務につまらない飲み会。本当につまらない人生だ。そしてきっとこれからも、そのつまらないは継続するのだろう。いったいいつまで?  理香は部会終わりの記念撮影にひっそりと写りながら、ため息をついた。  せめて死に際だけでも美しくありたい。  飲み会の間中、どうやって死ぬかを酔った頭で考え続けていた。  美しく、華麗に、楽しく、皆に称賛される死を。  SNSの中では今日もおびただしいフォロワー数を抱えたインフルエンサーが美しく死んでいた。  死ぬなら若い方がいい。若さこそが美しさだと信奉するルッキズムの権化のようなYoutuberは、生放送中に焼死した。  どれもこれも輝いて見えた。  皆が三々五々解散していくなか、赤ら顔の部長が理香に声を掛けてきた。酒臭い息に思わず顔をしかめたが、部長は理性が緩んでいるのかお構いなしだ。 「どうかね、おすすめの店があるんだが、二次会でも」  理香は断れない性格だった。早く帰りたかったが、断る理由も思い付かなかった。 「……行きます」  理香は部長と数人の同僚と共に夜の東京を歩き出す。
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