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3
ライディアーラ様は信じられない、とでも言うような目を向けてくるが、俺だって信じたくない。悪魔を召喚しようとしたら、王子を召喚したなんて。
「いえ、全く見えませんが、俺は悪魔を召喚しようとして貴方が現れたので確認しただけです」
「お前の悪魔召喚と私の花嫁召喚が何か作用したのだろうか? 父上や兄上に光が消えた時に目の前にいる者が花嫁だと言われたから、お前が私の花嫁である事は間違いないだろうが」
「ちょっと待って下さい。俺は男ですよ?」
「見れば分かる。性別など些末な事だ。花嫁召喚の儀で現れた花嫁は、最も相性のいい者だと言われている。私はお前をこれから愛するぞ」
「いえ、結構です。帰って下さい」
掌を見せて丁重にお断りする。
「私だって帰りたい。だがどう帰ればいいかわからない」
「俺が行った儀式のせいですかね? 悪魔に3つの願いを叶えてもらうってものだったんですが」
「そうかもしれんな。よし、願いを言ってみろ」
「いえ、結構です。3つとも帰って下さいって願いにします」
「そう言われても、帰れそうにない。最後の1つはそれにして、あと2つ考えてみよ。えっと……お前、名は何と言う?」
「坂井潮です」
「歳は?」
「24です」
「私より5つ上だな。私は年上も好きだから安心しろ、潮」
少し屈んで頬にキスをされる。
「な、何するんですか!」
頬を押さえて叫んだ。頬に残る柔らかい感触とふわりと香る花のような甘い匂いに全身が熱くなる。
「何ってキスだが?」
「キスは同意もなしにしてはいけません!」
「花嫁でもか?」
「同意もなしに花嫁にしてはいけません!」
「そうか。では、潮。私の花嫁になれ」
「嫌です!」
キッパリはっきり断る。これで口説かれる事もなくなるだろう、と安心する。
「何故断る。この私の花嫁だぞ?」
心底不思議だとでもいうような表情を向けてくる。そりゃ、圧倒的な美しさと王子という身分がありながら、冴えない男に振られるだなんて考えもしないだろうな。
「ライディアーラ様にはおっぱいがないからです」
「あるぞ、それくらい」
俺の手首を掴み、自分の胸を触らせるライディアーラ様。……立派な雄っぱいがあった。思わず揉んでしまった。華奢に見えて服の下には鍛えられた肉体が隠れているのだろう。
「あっただろ? 好きなだけ触るといい。潮は私の花嫁なのだから。それとライディアーラ様と呼ぶのはやめろ。他人行儀だ。ラディと呼ぶ事を許す」
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