III

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ーーSide茉莉絵 「あの日はあんなに綺麗だったのに」  カフェの近くの桜の下で、私は今度は1人で桜を見上げた。雨が降ったあとで、少し散り始めてきた桜はもう満開を迎えることはない。 (......さみしいな)  彼にとって先日のは一体何人目の彼女とのお花見だったんだろう。  今年の桜は私と見たときが一番綺麗だったよね、ううん。人生で一番桜が綺麗に見えたよね。 (私はそうだったよ)  別れた後も下着を取っておくほど好きな彼女って、一体どんな彼女なんだろう。 (私が別れた方が良いかな。だって、普通に、嫌だもん。下着はない。本当にない)  いくら気が利いたって、そういうのはちゃんとして欲しい。万が一女装が趣味でいつも自分で履いていますって言われてもありえないんだから。  燻る私に話しかける男性が居た。 「もし、お嬢さん! 1人かな」
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