III

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(ズルい)  この拓土さんには全然憧れないけど、私は多分彼と別れてもここまで引き摺ってもらえるような恋はしていないと思った。 「まだ、私にはそこまでの感情ってわからないです。恋愛って一つうまくいかないともう全部嫌になっちゃって」  まだ、彼に何も聞いていないのに、勝手に失望して幻滅した。私は何も彼にしてあげていないのに。 「ううん、そうじゃないな。私、お客様だったんです。もてなされるだけで、何にもあげられてない。私じゃまだ、彼を傷つけることすら出来ない」 「いや、傷つけないでぇ〜。ソフトにしてぇ〜」  全然話が噛み合わない。  けど、なんか。なんだか、ヒントみたいなものが手に入った気がする。  そんなとき、また後ろから声がした。 「ほっほ。若いのぅ」
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