III

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 渡されたのは手のひらに収まるくらいの小袋だ。訝しんでいると、スマホにミキからの着信が来ていることに気がついた。 「あ、ごめんなさい。なんだか私、呼び出されてて」  私がスマホを見ると、泣いていた拓土さんもスマホを見る。 「おっ、俺もだ。ーー▲▲大学?」 「えっ私も▲▲大学に」  偶然にも呼び出し場所は一緒らしい。 「ということで、私たちもう行きますねーーあれ?」  振り返ると、おじいさんはもう何処にも居らず、桜の木だけが微笑むように私達を見下ろしていた。
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