II

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ーーSide ミキ 「......ぐすっ......ヒック......もうやだ......」 「何、どうしたの?」  茉莉絵からの電話は3時間ずっと泣き声と嗚咽だけだった。その場に駆けつけてあげたいけど、それは本人曰く嫌らしい。 「彼氏の家に......元カノの……荷物があって......」 「それ、3時間泣くほど嫌なこと?」  ちょっと嫌な言い方になってしまうのは、もう別れてしまえと内心思っているから。 (だって、私の茉莉絵をぽっと出の男に盗られるなんて嫌すぎる)  茉莉絵は中学生からの親友だ。私はいつだって茉莉絵と一緒に居た。放課後はいつも一緒におしゃべりして過ごしたし、買い物に行くのもいつも私。大学受験だって予備校の先生より茉莉絵に勉強を教えた。
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