II

2/5
前へ
/21ページ
次へ
 それなのに去年のクリスマス前、茉莉絵は”告白されたの”と頬を赤らめながらヒョロくて殴ったら倒れそうな男ーー村井健斗を連れて来た。 (許せない)  村井は私の大好きな茉莉絵と付き合うなら、まず私に土下座をして詫びを入れるのが先だろう。  お花見の話を聞いている最中は村井は桜と共に散ってしまえと思っていた。 (大体、毎年一緒にお花見に行くのは私の特権だったのに)  嫉妬。けれど、これで茉莉絵が村井と別れてくれるなら御の字だ。あんな男は居なかった。これでまた2人で楽しく過ごせる。  そう思っていたら、茉莉絵が嗚咽の中でとんでもないことを口走った。 「落ちてたの......女物の下着が……」 「ハァ!?」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加