II

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*  次の日。曇り、ときどき私の怒号。 (無理無理無理無理絶対無理。一言言ってやらないと気が済まない)  村井には別れて欲しかったけど、茉莉絵を傷つけるのは許さない。浮気って何。あんなに世界一可愛い茉莉絵とお付き合いさせていただいておきながら何様のつもりなんだろう。  大学。私は人目も憚らず村井の研究室のスライドドアに怒りをぶつけた。 「村井健斗ォ!」 「む、村井くんなら外だよ」  怯えたような教授がレスを返してくれた。助かる。えっ、教授? 「あっ、教授すみません!」 「スミマセンじゃなくてさぁ......」  教授が何か言いたそうにしているし、なんならゼミか何かの読書会の最中だったらしく下級生が皆こっちを見ている。 「失礼します!」  村井のせいで、村井のせいで、村井のせいで村井のせいで本当に何もかもうまくいかない。
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