28人が本棚に入れています
本棚に追加
小川がサラサラと流れている道をわたしは走る。ポケットの中の小石からぽわぽわとした温もりを感じる。
しばらく走り続けていると、緑が生い茂る森のような入口が見えてきた。
「さあ、行ってみよう!」
わたしは、ドキドキしながら一歩踏み出した。
今日も木々がキラキラと輝いていて空気も澄んでいる。やっぱりなんだか懐かしくて不思議な道だ。
突然民家が現れた。
その民家の周辺だけがなんだかなんともいえない不思議な空気に包まれている。
ああ、民家はボロボロで朽ち果てそうだ。今日も誰も居ない様子でこの空間の時間だけが止まっている。そんな風に思えてくる。
わたしは、木製の引き戸に近づき中を覗く。すると……。
廊下をパタパタと走る子供達の足音が聞こえてきた。
やっぱり居る。あの梅柄の甚平姿の男の子と金魚柄の甚平姿の女の子だった。
さっきまでシーンとしていたのに不思議でならない。
この古民家が気になるけれど、やっぱり帰ろうかな。だって、中に入ってわたしは一体どうするというの?
だけど、神様らしき声が『朽ち果てた古民家へ行きなさい』と告げた。
これはもう行くしかないのかな。
そんなことを考えていると、突然、民家の木製の引き戸がガラガラと開いた。
え!!
「こんにちは」
「こんにちは、ようこそ」
梅柄の甚平姿の男の子と金魚柄の甚平姿の女の子がわたしを見て笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!