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「こ、こ……こんにちは」
わたしは、あまりにも驚き地べたに尻もちをつくように座ってしまう。
「あれ? お姉ちゃんこけたの?」
「大丈夫?」
心配そうに眉間に皺を寄せ梅柄の甚平姿の男の子と金魚柄の甚平姿の女の子がわたしをじっと見ている。確か丸男君と唯美ちゃんって名前だったな。
「えへへ、そっかも」
照れ笑いを浮かべるわたしに丸男君と唯美ちゃんは「つかまって」と手を差し伸べる。
わたしは、一瞬迷ったけれど二人のその手につかまり立ち上がる。丸男君と唯美ちゃんの手は冷えた缶ジュースのようにひんやりしていた。
「二人ともありがとう」
「ううん。さあ、入って我が家に」
唯美ちゃんがにっこりと笑う。
「どうぞ~」
丸男君もニンマリと笑う。
「あ、その……」
わたしは困ったように微笑みを浮かべる。
「お姉ちゃん、この古民家に興味があるでしょ? あ、わたし唯美ね」
「この古民家を覗き込んでいたもんね。僕は丸男だよ」
唯美ちゃんと丸男君は、わたしの気持を見透かしたような目でじっと見てくる。
「そ、それは……なんか古い民家だな〜って思って興味が湧いたのよ」
わたしはちょっと焦りながら答えた。
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