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「その気持だけで充分だよ〜さあ、行こう」
唯美ちゃんはそう言ってわたしの右腕をグイッと引っ張る。
「そうそう、この古民家に入る資格が充分あるよ」
丸男君も言いながらわたしの左腕をグイッと引っ張る。
「え、ちょっと、待ってよ〜引っ張らないでよ!」
わたしは唯美ちゃんと丸男君に引きずられるような形で古民家に足を踏み入れてしまった。
「さあ、ようこそ〜」
「ようこそ〜」
唯美ちゃんと丸男君はわたしの腕をぱっと離しにっこりと笑ったかと思うと、廊下をパタパタと走る。
「あ、待って」
わたしは、気がつくと二人の後を追いかけていた。
金魚柄の甚平姿の唯美ちゃんと梅柄の甚平姿の丸男君の背中が目の前をゆらゆらとわたしの目の前で揺れていた。
わたしは金魚と梅に古民家の中へと誘導されているそんな感覚に陥る。
そして、廊下の奥の部屋の前に辿り着いたその時……。
え!! どういうこと!? わたしは自分の目を疑った。
だって、目の前に立っている唯美ちゃんと丸男君の頭から二本の角がニョキリンと生えていたのだから。
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