27人が本棚に入れています
本棚に追加
今、わたしは古民家の茶の間の座布団に座っている。
カップラーメンが置かれた丸いちゃぶ台を森太郎さんと唯美ちゃんにそれから丸男君と囲んでいる。
ああ、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
森太郎さんの青味がかった妖しげな目がわたしをじっと見ている。
「どうした? カップラーメンだよ。食べないのかい?」
「……いただきます」
わたしはカップラーメンの蓋を開けた。すると、カレーのスパイシーな香りが鼻腔をくすぐる。
恐る恐る箸に手を伸ばしカレー味のカップラーメンを食べた。
食べ慣れた味ではあるけれど、カレースープのとろみとちょっと固めなじゃがいもが美味しかった。
「美味しいかい?」
「は、はい。美味しいです」
「それは良かった」
森太郎さんは相好を崩す。頭に角が生えているけれど、怖い人ではないのかもしれない。
「カップラーメン美味しいね〜」
「カレー味最高だね」
唯美ちゃんと丸男君も笑顔を浮べカップラーメンを食べている。
「カップラーメンって三分待つの面倒くさいよね」
「うん、お湯を注いで速攻食べたいね」
そう言いながらズルズルとカップラーメンを食べる二人に森太郎さんが、「いつも三分待てと言っているだろ」と言った。
「だって、三分も待つの面倒くさいんだもん」
「そうだよ。待ちくたびれちゃうよ~」
唯美ちゃんと丸男君はカップラーメンをズルズルと啜りながら言った。
この会話はまさか……。あの時の会話かな。
最初のコメントを投稿しよう!