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「さて、真里花ちゃん、君はどうして我が家にやって来たんだ?」
「それはわたしもよくわからなくて……ただ、鬼沢さんの古民家が気になって覗いてしまいました。ごめんなさい」
「いや、それは構わんけどね。ただ、我が家に気づく人間は滅多にいないから気になっただけだよ」
森太郎さんは優しい眼差しでわたしを見た。けれど、【気づく人間は】と言う言葉にドキッとする。
だって、やっぱりこの人達(鬼)は鬼なんだなと改めて感じたから。それに頭には白くて尖った角が二本生えているんだもん。
「真里花ちゃん俺のこのカッコいい角に興味津々のようだね」
森太郎さんはニヤリと笑いながらその白く尖っている角に細い指で触れた。
「や、やっぱり鬼なんですよね?」
「そうだよ。俺とこの子達は鬼だぞ」
「ほら見てみてカッコいい角でしょ?」
「ちょっと固くて艶のある角なんだよ」
森太郎さんと子鬼な二人は自慢げに胸を張る。
「そうですね。素敵な角ですね」
わたしは、ちょっぴり怯えながら言った。
その後もわたし達はカップラーメンをみんなで食べた。子鬼な二人と鬼ごっこやかくれんぼをして遊んだ。
「では、気をつけて帰るのじゃ」と森太郎さんが朽ち果てた古民家の前で手を振る。
「真里花ちゃん気をつけて帰ってね」と子鬼の唯美ちゃんと丸男君も手を振ってくれた。
「はい、ありがとうございます」
わたしも手を振る。
「また、いつでも遊びに来てくれ」
森太郎さんは柔らかい笑みを浮かべた。その笑顔はやっぱりちょっと妖しげだった。
「また、鬼ごっこしようね」
「鬼ごっこ楽しかったよ〜」
「はい、また、お邪魔しますね。鬼ごっこもしようね」
子鬼の二人と鬼ごっこだなんてちょっと可笑しくてわたしは笑ってしまった。
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