鬼とあやかしとカップラーメンしか存在しない世界と夢

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 このタイミングで鬼とあやかしだなんてと思いながらその冊子を手に取ろうとしたその時、 「ねえ、真里花ちゃん今日はカップラーメンと一緒に食べるサラダを作ってみたのよ」  お母さんはこちらに振り向かず言った。 「あ、サラダね。何サラダ?」  わたしは、『鬼とあやかし』の冊子を気にしつつ料理が苦手なくせにピンク色のエプロンをつけているお母さんの後ろ姿を眺めた。 「トマトとレタスのサラダだよ」 「そっか、トマトはさっぱりしていて美味しいよね」 「そうよ、一人トマト二個分よ」 「あはは、それってちょっと食べ過ぎじゃない?」  わたしは、笑いながらお母さんに鬼について聞いてみたいなと思った。 「ねえ、お母さん鬼って本当にいると思う?」  わたしは何気なさを装い尋ねる。 「えっ! お、鬼」  お母さんは驚いたと言う声を出した。  そして、こちらに振り向いたお母さんの手は真っ赤なトマト色に染まっていた。 「ちょっと、お母さんトマト握り潰しちゃったの?」 「あら、わたしとしたことが……真里花ちゃんが鬼なんて言うからよ」   鬼に過剰な反応を示すお母さんにわたしは首を傾げた。 「トマト一個損しちゃった」  そう言いながらキッチンペーパーで手を拭くお母さんはいつものお母さんだけど、何かが違うと思った。  そう、お母さんの頭に角が生えているではないか。 「お、お母さん」 「ん? 真里花ちゃんどうしたのかな?」 「お、お母さんの頭から角が生えている!!」  わたしはワナワナと震えながらお母さんの頭からニョキニョキと生えている二本の角を指差した。
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