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「カップラーメンしか存在しない異世界からわたしはやって来たのよってこの前お母さん言ったけどあれも演劇の一部なんだよね?」
「あら、それは本当よ。お母さんはね、カップラーメンしか存在しない異世界からやって来たのよ」
お母さんは嘘なのか本当なのか判別できない表情で言った。
「ねえ、お母さんわたし真面目に聞いているんだよ」
わたしは、お母さんをじっと見る。
「真面目に答えているわよ。異世界と言うか正しくは鬼の世界かしらね」
お母さんはうふふと楽しそうに笑う。
「鬼ってね、怖いものや醜い心など悪い鬼だけじゃないのよ。一生懸命努力をする勉強の鬼や練習の鬼もいるでしょ?」
お母さんの言っていることは何となくわかるけれど、異世界からやって来たのかはたまたまさか鬼だったというオチなのかさっぱりわからない。
「お母さん、もっと簡単に言ってよ」
「あら、わかりにくいかな? わたし料理の鬼にはなれないけど、一生懸命生きる努力の鬼にはなれるかもしれないってことかしらね」
お母さんはそう言ってニヤリと笑った。
「お母さんは舞台女優を本気で目指すってことなんだね」
わたしは溜め息をつくのと同時に夢を持つお母さんのことが羨ましいなと思った。
わたしもまだまだこれからだ。自分の好きだなと思えることや、やりたいなと感じることを探しに行こう。
だって、まだ高校一年生なんだからね。お母さんに負けてなんかいられない。
カップラーメンが大好きな鬼の森太郎さんや唯美ちゃんに丸男君は存在している。
また、会いに行こう。
カップラーメンしか存在しない異世界からわたしはやって来たのよ。でもね、これは絶対に秘密だよってお母さんは言ったけど、鬼の森太郎さんや子鬼の唯美ちゃんや丸男君に話しちゃうもんね。
わたしは、ニヤリと笑ってみせた。
「完」
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