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新学期から一か月経った時に、一郎が邦太郎の家に遊びに行きたいと言ってきた。本人曰く、友達になって一か月記念だからとのことだった。邦太郎は一か月記念ってなんだ?と思ったが、そんなことよりも邦太郎が住んいるのはトイレ共同のボロアパート。そんな所に人を招くなんて考えられなかった。部屋を見られることが恥ずかしかった。
「家には……その、散らかってるし、狭いから無理なんだ」
「そんなこと気にしないよ。今日はバイト休みって言ってたよね」
「きょ…今日?」
「だって後崎氏、何時もバイトで忙しいから。休みなんて珍しいし。じゃあ、今日お邪魔させてもらうね。よろしくです」
「はあ?……」
断固拒否すれば良いのに、心優しい邦太郎は断ることが出来なかった。偶に一郎は圧をかけることがある。服従させるわけではないのだが。
嫌なら断ればれいいのに、何故か拒否することが出来ない。邦太郎自身もよく分かっていなかった。
「……分かった」
邦太郎は俯きながら小さく呟いた……。
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