7.僕の最大の秘密

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1ヶ月後。 僕は川瀬と引っ越しをすることにした。 マッチングアプリで出会った不特定多数の 人に自宅を知られているリスクを心配した 川瀬が提案してきたのだ。 「自分で運ぶ荷物は、これだけ?」 「はい。川瀬さんは?」 「持ってる分だけ」 じゃあ行こうか、と川瀬と並んで 玄関ドアを開けた。 短期間での退去に対して、 お互いに違約金を支払った身。 金銭的にあまり余裕はないが、 新居には2人で入るから何とかなるだろう。 あの日から川瀬の寝不足は解消され、 僕の欲求不満も空の彼方に消えたのは 言うまでもない。 「あ、川瀬さん」 「何」 「今日もかっこいいですね」 「何を今更」 すごく大らかで、だけど少し自信過剰。 優しくて夜の相性が抜群にいい 僕の初めての恋人は、きっと最後の恋人。
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