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公園のシンボルだった桜が死んだ。
町のみんなからとても愛されていた桜。
幹はやつれて細くなって、真っ白な骨のよう。
もう春を迎えることが出来ない。
朽ちた桜の周りには知らない大人たちがいて、「伐採」だとか「建設」がどうのこうのと話している。
「余所者が」
石を投げると、バツが悪そうに去っていく大人たち。
誰もいなくなった隙を見て、桜に近付き、幹に手を当てる。
「小春、安心していいよ…約束、必ず守るからね」
風が頷いたみたいに強く吹いて、空へ舞い上がって消えた。
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