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オレオレ詐欺
しかしマリアはまだ信じていないみたいだ。
「ああァ、わかったわ。これは新手のオレオレ詐欺かなんかでしょ。絶対、そうだわ。フフゥン、天才美少女探偵、織田マリアにはすべてお見通しよ」
まるでどこかで聞いたようなセリフだ。
小悪魔はまだ警察からの電話を信じようとしない。
『あいにくだったな。お嬢ちゃん。オレオレ詐欺じゃないさ』
「さァ、どうかしら。詐欺師の常套文句よ。『オレは詐欺師じゃない』って言うのは!」
確かにマリアの言う通りだ。
『おいおい、別にこっちだって好き好んで、こんな電話をしているワケじゃねえェんだ。弁護士さんを騙すような度胸はないんでねェ。こっちの堂島署まで来てもらえばわかるよ』
さすがに鰐口警部補も分をわきまえているようだ。大人の対応をしてくれた。
「フフゥン、なるほど。わかりました。事は殺人事件なんですね」
オレも警部補たちに念を押した。いくら何でも鰐口警部補まで用意して大掛かりなドッキリで騙すことはないだろう。
『ああァ、コイツが是非とも顧問弁護士に連絡したいって泣きつくんでね』
鰐口警部補はヒデを引き合いに出した。
『シンゴ君。頼むから早く助けてくれよ』
傍らからヒデが情けない声で泣き叫ぶ声が響いた。
「ああァ、わかったから泣くなよ。取り敢えずヒデと会って直接、そちらのお話しを伺いましょう」
このままでは埒が明かない。
どうやらヒデが拘束されている警察署へ面会に出向くしかなさそうだ。
『ああァ、ありがとう。恩に着るよ。頼むよ。シンゴ君だけが頼りなんだ』
ヒデが泣きながら叫んだ。
「フフッ、わかったよ」仕方がないだろう。
乗りかかった舟だ。
面倒だからといって、ここでゲームを放り出すワケにもいかない。
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