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織田マリア
「おいおい誰なんだ。そいつは?」
さすがにコワモテの鰐口警部補が眉をひそめ訊いた。
「フフゥン、よろしくて。シンゴ!」
上から目線でオレを見つめた。
「ああァ、どうぞ。ご自由に」
オレは天才探偵役を織田マリアに譲った。
別に、オレとしては誰が事件を解決しても構わない。
依頼人のヒデを弁護するのがオレの役目だ。
「フフゥン、すべての謎はこの私。織田マリアに解かれたがっているのよ」
圧倒的な自信だ。
「はァ」
「真犯人は、あっと驚くような者でないとユーザーが納得しないのよ」
「おいおい誰目線だよ」
「フフゥン、真犯人はね。一周回って、あなたよ」
マリアはもったいつけるように一同を見回し腕を大きく回した。
「えェ……?」
「そう、パン君よ!」
マリアはヒデを指差した。
「な、何を言ってるんだよ。オレが真犯人のわけないだろう。話しを聞いてたのかよ!」
「フフゥン、真犯人は、だいたい『オレは犯人じゃない』って主張するモノなのよ」
「あのなァ、ムチャクチャ言うなよ。犯人じゃなくたって、そう言うだろう。おいおい、シンゴ君、頼むよ」
「えェ……、ああァ」
頼まれても、まだどういう事件なのか、まったくわからない。
「フフッ、良いこと。事件はたぶん、シンゴが片づけるわ」
「えェ……?」
「でも、そのことでパン君は無罪になり釈放され自由になるの」
「そ、そりゃァ、当然さァ。真犯人が捕まれば自由だろう」
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