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織田マリア
「てもねェ。その真犯人はダミーなのよ」
「ダミー?」
「そうよ。ダミーの真犯人が捕まったり、もしくは、そのダミーが自殺に偽装して殺されれば死人に口なしでしょ」
「な?」
「そうすればパン君は晴れて無罪放免。大手を振って自由になるって寸法よ。おわかり?」
「いやァ、そんなうまく行くか。だいたいダミーの真犯人って誰だよ」
「さァ、殺されたのは人気だったセクシータレントよね。確か名前は?」
「え、ああァ名前は明日香未来さァ」
ヒデは少しふて腐れたように応えた。
「そう、かなり人気のあるセクシータレントだったんでしょ?」
「ううゥ……、まァそうだけど」
「だったらストーカーの一人や二人いるんじゃないの?」
「そりゃァいるだろうけど……」
ヒデは視線を逸らした。
「いずれ明日香未来にストーカーがいた事がわかり警察も追跡するはず。でもそのストーカーが自殺して、事件は一件落着!」
「ストーカーが?」
「だけど、この事件には裏があったのよ」
「おいおい、なんだよ。裏って。オレが事件の首謀者だって言うのか?」
「そう、パン君はストーカーが自殺してくれたので、まんまと無罪放免ってワケよ」
「あのなァ、だいたいなんでオレが明日香未来を殺さなきゃならないんだよ。未来を殺す動機がないだろう!」
「フフゥン、そんなの決まってんじゃん。パン君の元彼女だったんでしょ。明日香未来は!」
「それは……」
「パン君は何度も未来に言い寄ったのよ。ところが将来性のないパン君に見切りをつけて、彼女は別れ話を持ちかけたのよ。しかも多額の借金を返せと要求されたのよ」
「ううゥ……」
「ところが、パン君は未練があったの。なんとかよりを戻そうと必死に食い下がった。ところが彼女は二度とパン君の顔も見たくないと突き放したのよ。お金を返せなきゃ訴えると脅してね!」
「ううゥ……」
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