本当の五月(メイ)は?

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本当の五月(メイ)は?

 私と拓海くんは、五月(メイ)が入院している横浜けいゆう病院を訪れていた。 「ねえ、五月(さつき)さん。五月(メイ)はもう二週間入院しているんだよね。もう病状は落ち着いているのかな?」  病院のロビーを入って、五階の病室に向かうエレベーターを待ちながら拓海くんが聞いて来た。 「えっと、最初の三日で副腎皮質ステロイドを点滴で投与して、その後は経口投与に切り替えているの。それでケロイド的な発疹はほぼ沈静化したけど、まだその痕が残っているわ。だから五月(メイ)は拓海くんに顔を見られたくないから……このことは絶対の秘密にしてって釘を刺されてたの」  エレベーターのドアが開き、二人でエレベーターに乗り込み五階に向かう。  エレベーターの中で拓海くんが呟いた。 「……そんなこと関係ないのに。あいつ、俺がどんなに五月(メイ)のこと大切で大好きなのか分かってないよな」  その彼の言葉に、私もドキドキしてしまう。  ふと気付くと拓海くんが私を見つめている。 「どうしたの? 五月(さつき)さん? 顔が赤いよ……」  その優しい表情に私の心臓の鼓動が更に高まっている。このままでは私も拓海くんを好きになっちゃいそうだった。  大きく首を左右に振ると、丁度開いたエレベーターのドアを抜けて、足早に五月(メイ)の病室に向かった
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