本当の五月(メイ)は?

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 北見五月と書かれた病室の前でドアを叩く。 「はい、どうぞ」五月(メイ)の声が聴こえる。  ドアを開けると彼女の病室に入った。ベッドの上で本を読んでいた五月(メイ)が顔を上げた。 「あっ、五月(さつき)。どうだった? デートは……? えっ? 嘘……」  続いて部屋に入って来た拓海くんを見て五月(メイ)が目を見開いている。そして両手で顔を覆って下を向いてしまった。 「五月(さつき)! なんで拓海くんを連れて来たの? 絶対の秘密って言ったのに酷いよ!」 「五月(メイ)、あのね……」 「五月(さつき)さん。俺が話すから……」  そう言うと拓海くんは、五月(メイ)のベッドの横の椅子に座った。まだ五月(メイ)は両手で顔を覆ったままだ。 「五月(メイ)。俺が五月(さつき)さんに言って、連れて来て貰った。俺を騙すなんて酷いじゃないか」  五月(メイ)は俯いて顔を両手で覆ったままブルンブルンと首を左右に振っている。 「……だって、こんな顔、拓海くんに……見せられないよ」
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