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エピローグ
「ありがとう、五月さん。五月に逢わせてくれて」
病室を出て、エレベーターに向かう廊下で、拓海くんが私に話しかけてきた。
「いいえ、本当にごめんなさい。貴方を騙すことになって」
「もういいんだ。五月の気持ちも分かるから」
私は立ち止まって彼を振り返った。そして彼を見上げた。
「拓海くんは心も美男子な五月の自慢の彼氏だね。私も憧れちゃうな」
拓海くんは私の言葉に首を傾げている。
「ありがとう五月さん。ねぇ、聞いていいかな? 五月さんは彼氏居るの?」
私はブルンブルンと首を左右に振った。
「残念だけど、年齢イコール彼氏居ない歴なの。五月みたいに可愛くないから……」
「えっ? 五月さんはとても可愛いのに……。そうだ、ちょっと待って」
彼はスマホを取り出してメッセージアプリで誰かにメッセージを送っている。
直ぐに返信が有ったみたいだ。
「この近くにいるから、この病院に来てくれるって」
「えっ、誰が?」
「まあ、ちょっと待ってて」
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