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横浜みらとみらいデート
「はい、これ観覧車のチケット」
彼からチケット受け取ると900円と書かれている。
「ありがとう。私の分、払うね」
そう言いながらバックから財布を取り出す。
「いいよ。これは俺の驕り。バイト代入ったんだ。今日のデートの費用は俺に奢らせてよ」
「でも……」
「いいから! さあ乗ろうよ」
彼は強引に話を終わらせると、また私の手を引いて観覧車の乗降口に向かって行く。
私は財布を手に持ったまま彼に連れられて赤色のゴンドラに乗り込んだ。彼の向かいに腰を降ろして財布をバックに仕舞っていると係員が外からドアを閉めてくれた。
彼の強引さに少し口を尖らせて見せたけど、彼は柔らかい笑顔で私を見つめている。その視線から逃れる様にゴンドラの内部を見渡す。ドアの反対側にはタブレットが設置されていて、タップすると『周辺施設情報』『横浜歴史散策』のメニューが見える。
「これで、ここから見える横浜の街を説明してくれるのね」
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