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その十五分後、病院の待合室の長椅子に座っている私と拓海くんの前に、ある男の子が現れた。
「よお、拓海」
その声に拓海くんが立ち上がった。私も立ち上がりその人に軽く会釈する。
「兄貴、こちらが北見五月さん。ほらこの前、紹介して兄貴も可愛いいって言ってた俺の彼女、五月の双子のお姉さん」
彼の紹介で、その男の子が拓海くんのお兄さんだと分かった。でも私はそのお兄さんの顔を見てとても驚いていた。
(えっ? このお兄さんと拓海くんは……?)
お兄さんは私に満面の笑みを見せてくれる。
「そうか、本当に五月さんにソックリだし僕の好みの顔だ。初めまして五月さん。僕は拓海の双子の兄、安藤誠人です。宜しく」
そう言いながら誠人さんは私に右手を差し出した。
私はその手をギュッと握ると、拓海くんと瓜二つの誠人さんに笑顔を向ける。
「はい、初めまして。誠人さん。北見五月です。宜しくお願いします!」
誠人さんの右手は力強くてとても暖かい。
私は自分の心臓の鼓動がどんどん高まっていくのを感じていた。
FIN
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