第一章

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第一章

《クラットセム帝国》  東、南そして北を大国と接している小国だが、今もなお現存する7国の中の1つ。なお、現存する比較的古い歴史書にもその名が残っているが、いつから存在しているのかは不明。 ─────────────────────── 【正統歴1702年 12月】  少年は手榴弾を細い路地の奥に投げ、その横にある建物の窓を蹴破って中に入ると、爆音と熱風が押し寄せた。建物の階段から最大限の注意を払いながら、最上階まで登る。途中、爆発音に警戒して巡回していた二人組の兵士を、静かに短剣で滑らせるようにして殺した。  どこからか爆発音がなったところで、最上階から窓を割って、そこから隣の建物のベランダに飛び移る。ドアを開けて、閃光手榴弾を投げ込み、ベランダから一番下まで飛び降りる。高さとしては十メートル以上だが、訓練してきたためか全くの無傷だ。
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