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エイプリルフール
夕焼け空を眺めながら、俺と彦は下校していた。
今日あったことや、好きなキャラのかっこいいとこ…
そんな他愛もない話をしていたら、急に彦が真顔になった。
「俺さ、余命宣告受けててさ…もうすぐ死ぬんだ、明日…。」
一瞬は?と思ったが、今日が4月1日…つまりエイプリルフールということに気づいて、
「おーい!お前なぁー!!今日エイプリルフールじゃねぇか!一瞬ドキッとしちまったじゃん!!!」
と、彦の肩に手をかけて笑いながら言った。
「そ~ゆ〜嘘は良くないんだぞ!!」
「へへへー!うっそでーした!だ〜まさ〜れた〜!!!」
次の日。
土曜日なのにお母さんに叩き起こされた。
内心やっぱり(なんだよ…)と思いながらも話を聞いていると、
「昨日、家に帰った彦が、急に容態が悪化して…」
嫌な予感がした。
じめりと変な汗が背中を濡らす。
「お亡くなりになられたの…」
その“嫌な予感”は的中した。
そんなはずがない。昨日俺が嘘と受け流したのは本当だったのか…?
ー…まてよ。
彦は「明日」死ぬと言っていたのに?
「なあ、母さん。今日って何日だ?」
「4月1日よ」
昨日はエイプリルフールではなかった。
なにもかもよくわからなくて、すべてがウソになった。
ウソに、したかった。
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