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僕が沙羅の叔父だということは、病院側は信じている。それなのに退院させてもらえない。切り傷はもう大丈夫なはず。しかし、記憶が戻っていないということでしばらく様子を見るとのこと。それで小児科病棟へ沙羅は移された。
小児科は、家族以外は面会できないから、外科よりは安全だが、そこには気になる女がいた。あきらかにあっち側の人間。そして僕と同じように周辺の人々の心に以前からいたと思わせる術を持っていた。
気にくわないのは、僕のことをおもしろいものをみるように見下していることだ。まさか、正体がわかるのか。あいつは油断ならない。
怖いくらいの美女だ。背はかなり高い。小児科常勤の医師でもあり、保育士だということ。病棟にいる子供たちの勉強を見たり、一緒に遊びんだりする。
この女が歩く後には闇火花、つまりもじゃもじゃがついてまわる。
沙羅は、中学生の稲原朱里という少女と同室になった。これから沙羅に面会する場合、ナースステーションに申し入れしなければならない。そしてデイルームで会うようにと言われた。まだ叔父として疑われているのか。
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