飛鳥IIに導かれて

1/7
前へ
/10ページ
次へ
飛鳥IIに魅せられてから、一緒に見に行った家族が他界しました。 現実味のない悪夢を彷徨う日々の中、私の唯一の救いだったのは、飛鳥IIでした。 コロナの影響により旅程の途中で引き返したり、エンジントラブルによる低速運航等、なかなかにシビアな状況もありましたが、どうにか乗り越え、新造船の着手というニュースにも沸きました。 当初は新造船が運航したら、飛鳥IIは引退することになっていました。 私ももう、飛鳥IIと一緒に社会人を引退しよう。 しかしまあ、家族が一人亡くなったために働き続けなければならなくなり、私は家族だけでなく飛鳥IIまで失うのかと途方に暮れました。 せめて廃船ではなく買い手がついて名前が変わってもいいから海に浮かんでいてくれ、と願うようになりました。 そして新造船の名前が発表され、飛鳥IIの続投も決まりました。 新造船のお名前は飛鳥III。 その頃、飛鳥IIを運航する会社のアスカクラブという登録制の会があり、それまでは乗船歴がなければ登録できなかったのが乗っていなくても無料で登録できるようになったため、私も登録させてもらことにしました。 メールマガジンが、定期的に届くんです。 飛鳥IIからメールが来る! 新造船の近況やセレモニーの様子、従業員の紹介や乗船時に使える割引チケットなどもあり、まるで飛鳥IIがおいでと招いてくれているような気分になりました。 ……商売上手だなあ(照れ隠し)。 もちろん私は乗船できるような身分ではありません、低賃金の底辺庶民です。 外から眺めていられれば、それでいいんです。 昨年、大阪港に寄港する予定があり、岸壁の下見まで行ってきたのに旅程がキャンセルになったこともありました。 それから、大阪港にはすっかり縁遠くなってしまいました。 そしてつい先日、大阪の堺の港に寄港することになりました。 しかし、その日は平日。しかも私ったら体調を悪くしていて、そこは駅から数キロを歩く港でもあるため、行くことはできませんでした。 0791542f-4f49-414f-8b06-509a44789dba ここ! ほんっとうに、地図しか見ることができず、悔しい思いをしました。 そして今年は何と、コロナで数年延期になっていた世界一周の旅に出ることになっているのです。 旅程をチェックしたところ、金曜日に横浜を出港、土曜日に神戸、からのシンガポール。 まあ、世界情勢の関係でスエズ運河が通行できず、喜望峰ルートになったため、寄港する港にかなりの変更はありましたが。 ついに、飛鳥IIが世界に旅立ちます!
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加