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中目黒駅を出て2、3分歩くと目黒川に着いた。
目黒川に掛かる橋の中央に立ち、桜並木を眺める。
その壮麗な景色に圧倒される。
月明かりと街灯に照らされた桜色は夜の空に神秘的に浮かび、桜影が目黒川を彩っている様子もまた息をのむ程の絶景だった。
「すごい、綺麗。こんなに幻想的な桜…初めてです。」
「でしょう。桜が散る頃も綺麗なんですよ。」
「散り際も見てみたいです。
桜って咲くのも散るのも一瞬ですよね。毎年、気づいたら桜の季節は終わってて。」
「一瞬だからより魅力的なんでしょうね。あっちの方も行ってみます?案内しますよ。」
案内されるまま目黒川沿いを大島と一緒に歩いた。
世間話をしながら、どこか夢見心地で。
「週末だし、飲みませんか?夜桜で。」
大島の意外な提案に、まだ一緒に過ごせる期待に、心が跳ね上がる。
「いいですね。」
「美味しいイタリアンレストランがあるんです。」
大島にとってはただの気まぐれ。それ以上のなにもない。なんて考え、踊る気持ちを落ち着かせた。
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