学級〈クラス〉・クライシス

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今日は4/10、3年生の一年がはじまる。去年のクラスは最悪だった。このクラス替えで新しいクラスも最悪なままだったら転校でも何でもしてやる、そう覚悟している。 下駄箱前に張られた名簿。見た瞬間、死を覚悟した。私をいじめた面々。終わりだ。徐々に吐き気と目眩が私を襲う。その後の記憶は、ない。 次、目を開けたときには教室の1番後ろ廊下側の席に座っていた。黒板の日付は4/11。さっきのは夢?悪夢?そうだった、そうだったはず、私は今年、最高のクラスになった。多分。だって見渡す限り先生もクラスメイトもみんな笑顔なのだ。 でも、少し変だ。私はクラスメイト全員を今年になってはじめて見たのだ。去年は部活でも廊下でも顔すら会わせたことのない人たち。まあ、この学校は生徒数が多いからそんなこともあるのかも。それにしても、まるで昭和からタイムスリップしてきたようなお下げ髪の子、テレビでしか見ないような平成ギャル、旧型の制服を着た生徒もいる。個性的だ。先生も知らない人だ。新しく赴任してきた人なのかもしれない。それに、私の出席番号が一番最後の40席なのも違和感だ。名字的にいつも20席前後なのに。 このクラスで何日も過ごして気がついた。クラスメイトたちは私をまるで新入りのように扱うのだ。同い年のはずなのに。他のクラスの生徒に至っては私を、というよりクラスをまるでいないように扱う。いじめられていたから無視はなれているけど。全校集会でも私のクラスはなぜか特別席だ。二階の放送室のスペース。人混みが嫌いなので別にそれはそれでいいけど。 3/1、卒業式の時が来た。ホームルームで先生は「来年もよろしくな」と言った。私たちは3年生のはず…。先生の言葉はどういう意味かと隣の生徒に聞いたら「あなたは新入りだから知らないのね」と話し出した。「このクラス霊〈レイ〉年霊〈ゼロ〉組はずっとこのクラスのままなのよ、成仏するまでね。」と。「成仏?」 窓の外で声がした。「もうすぐで一年だっけ、先輩が亡くなってから。」「そうだね…。転落死だって聞いた。いじめで悩んでたみたい。」「私たちに相談してくれればよかったのに。いじめられてたなんてそんな素振り一切見せなかったし。」 知らなかった。「私、あの時死んだのね。」
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