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「本当は大嫌いでね。一番嫌いなヤツに告白しろっていう、いわゆる罰ゲームってヤツだよ。そもそもはダチと賭けをしてたんだよな。四月一日に告白したら信じてもらえるかっていうね。ああ、その賭けの対象はお前じゃない。その前に本命の女に告白したんだよ。そしたら見事に玉砕。『エイプリルフールに告白するなんてあり得ない!』って怒っちゃってさ。もちろん、俺は成功する方に賭けてたんだがーーー負けちまったから、罰ゲームとしてお前のほうにいったわけ。まさかこっちは『はい』って言われるとは思わなかったけどな!」
ケタケタと笑いながら解説する彼を、私は正視できなかった。
こみ上げてくるもの必死に耐える。
私の様子に目をくれることもなく、彼は話を続けて、
「そんで俺もどうしようかってなったんだけど、自分から告白しておいてノーって言うわけにもいかなかったしなぁ。いや、みんな陰で見てたから早く『ドッキリ大成功!』って来てくれよって思ったのよ。でもアイツら、とっとと逃げてやんの!後から聞いたら俺がキョトンとする顔見て爆笑してたってさ。まったくひでぇヤツらだよなぁ!俺は好きでもねぇ女と付き合う羽目になったってのに!」
ヒヒっとひきつるように笑った。
私は歯を食いしばった。爆発しそうな感情を抑え、荒くなった息を必死に整える。鼓動が早まるのを感じる。腹の奥が熱を帯びる。吹き出しそうになる。
それでも彼の吐き出す言葉が続々と耳に入ってきて。
「だいたいさぁ。エイプリルフールだったんだから疑えよな!大事な話があるなんて誘われる時点でアヤシイだろうよ。なんで信じちゃうかなぁ。明らかに嘘だろって!ちったぁ考えろ!そういやエイプリルフールって四月馬鹿って言うしなぁ。そのとおりだよ、ホント馬鹿だ。エイプリル馬鹿!なぁ馬鹿だろ!?そんな馬鹿と一緒に居させられて、それでーーーー」
「それでッ!!??」
私は叫んだ。限界を超えてしまった。
勢いに気圧されて彼がたじろいたようには見えたが、もう彼の様子などおかまいなしだった。
ここまで必死に抑えてきた感情の、その蓋が。
漏れ出る蒸気の勢いが増し、蓋をガタガタと揺れて、その瞬間、吹き飛んで。
爆ぜるように、私はーーーーーーーー
「プッッ!・・・・あーっはっはっは!!!」
大笑いした。
腹を抱えて笑い、堪えてきた可笑しみを一気に開放する。
何やらモジモジとする彼に向けて、私は言ってやった。
「あなたそれで、50年も過ごしたの!?」
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