第一章 肉と魚

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割と早い時期に実は私という女はこういう女なんですという事情を曝け出していたから。 そこで彼が『そういうだらしがない女はちょっと……』といってくれたら今のこの関係はなかった。驚いたことに彼は『それでもいいよ』なんて言う人だった。 だからこそ私は(あぁ、私は彼にとって彼女や結婚相手としての対象じゃないんだ)と自覚した。 単に趣味嗜好が同じで、話が合って、後腐れなくセックス出来る──ただそれだけの関係なのだと。 それはそれでお互い様だと思えたからこそ、彼は今まで付き合った男の中で一番長く傍にいる男になっていたのだった。
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