第一章 肉と魚

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「なんでしょうか」 「この書類に書かれている年代のレンタル顧客数を年と月毎にグラフ化してくれないか」 「いつまでに仕上げればいいですか」 「明日の会議で使うから出来れば今日の終業までには」 「解りました」 受け取った書類をパラパラと見てこれなら午後から始めても時間に余裕があるだろうと思い、とりあえず現在進行形で手掛けている作業を優先に続けた。 そうしているうちに昼休憩開始の社内チャイムが鳴った。 私が勤めている大手清掃会社ナギノクリーンカンパニーは就業時間と休憩時間の区別がはっきりしている。 仕事をする時はする。休憩をとる時はとる──といった具合にそれをチャイムを流すことで区別していた。 なので基本残業もなく労働する側にはとても気持ちのいい会社だった。 「お昼~お昼~」なんて呟きながら上機嫌で社食へと向かった。その途中で部署違いの友人、美佳と会った。 「あれ、美佳。今日は本社にいるの?」 「あーエリ子。そうなんだぁ、作業予定していたお家がいきなり日程変更になって」 「そうなんだ。まぁ、そういう時もあるよね」 友人のひとり、花井美佳(はないみか)は営業職で外回りが多い。だからいつもお昼はもうひとりの友人、藤澤郁美(ふじさわいくみ)と一緒なのだけれど──……
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