112人が本棚に入れています
本棚に追加
主に美佳が主導権を握っていて、私と郁美はそれに素直に従っていた。
「あー、疲れたぁ。ちょっと休憩」
注文していたソフトドリンクや軽食を口に入れながら盛り上がるのは私たちの間で目下話題になっている女性のことだった。
「しっかし驚いたよね。一回りも歳下と結婚とか!」
「意外と突然だったわよね。郁美はお相手、知っているの?」
「えっと、光輔さん経由でなんとなく。この春に調理の専門学校を卒業した二十歳なんだって」
「それは知っている。顔は? どんな感じ? 背は高い?」
「ちょっと美佳、グイグイ行き過ぎ」
「光輔さん曰く、めちゃくちゃ男前だって」
「えぇーいいなぁー、若くてイケメンの旦那さんだなんて! さすが末永さんって感じ」
「だね」
そう、話題になっているのは私たち三人の憧れの女性社員、末永京のことだった。
結婚しないと豪語していた彼女が突然『結婚します』と宣言した時、社内は騒然となった。
しかもそのお相手が彼女よりも一回りも歳下の二十歳で、おまけに専業主夫になるということだからし社内はしばしその話題で持ちきりだった。
そして私たち三人は末永さんの結婚式に招待され、披露宴の余興として歌を披露することになり、その練習を現在行っているという状況だった。
最初のコメントを投稿しよう!