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「そのためには仕事をもっと頑張らないといけないね」
「うん、頑張ろうよ。私たちの夢の実現に向かって」
「……エリちゃん」
「ふふっ。またエリちゃんかぁ」
「ごめん」
「んん……いい。だってすぐにエリ子って呼んでくれるから」
「……ん」
誘われるように唇同士を重ね合わせる。それが甘い時間に突入する合図だった。
もう何度も抱き合っているのに全然飽きない。
行為中の彼が『エリ子、エリ子』と夢中になって呼ぶ。ただそれだけでも私は堪らなく幸せを感じてしまう。
こんなに甘い時間がこれからも続くのだと思うだけで生まれて来て幸せだなんて大袈裟に思ってしまう。
正直にいうと、彼と住む家はなんでもいい私。希望も要望もないというのが本音。
だってどんな家だって其処に彼と住まうというだけでとても幸せなのだから。
だから私は彼の望みを叶えるだけ。
童話【青い鳥】では幸福の象徴が青い鳥だったけれど、私の幸せの象徴は祐樹さん──あなたです。
これからもずっとずっと傍にいてくださいね。
Third Sing(終)
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