第一章 肉と魚

6/13
前へ
/41ページ
次へ
内野宮係長から頼まれてた仕事をこなしていると新着メールが届いた。開いてみると社内一斉配信されたDMだった。 (なになに……あぁ、会社主催の飲み会の案内か) この会社では半年に一度、部署を問わず全体で開かれる飲み会がある。 つまり親睦会という名の飲み会。違う部署にあっても顔見知りになれる場を意図的に作っているのだ。 異性同士がそこで知り合い意気投合すればそのままカップル成立なんて恋愛要素的な意味合いもあった。 ちなみにこの会社は社内恋愛を推奨している。同じ職場、仕事をしていればお互い公私共に解る事が多いという理由からなのだけれど…… (別れた時とかは気まずいよね) ここで芽生えた恋愛が全て上手く行くとは限らない。というか、私に限ってはほぼ上手く行かない方に傾くのだけれど。 なるべく後腐れのない相手、付き合いを心掛けているけれど、それでもやっぱり社内で遊び相手を探すのには限界があるのかもしれないと思ったりもした。 「──ん、完璧。ご苦労さん」 頼まれていた仕事を終業間近に終え、ホッと息をついた。 (今日はこれで終わりだぁ) 自分のデスクに戻りうーんと背伸びをしていると丁度終業チャイムが鳴った。 (おぉ、完ぺき!) 残業無しで定時で帰れることに幸せをかみしめながらそそくさと帰り支度をした。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加