過ぎた見頃

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 この間、開花宣言されたと思ったら、あっという間に満開になり、次の休みに歩きながら桜でも見ようと思っていた。  次の休みは五日後、まぁ、ギリギリ満開は逃しても遅咲きの桜は見れると思っていた。  しかし天気は日々変わるもので、開花から満開まではお天道様の頑張りで一週間足らずでそれに至ったが、満開からはあいにくの大荒れ天気。  暴風雨で、花散らしの雨どころか、樹木丸ごと飛んでいったニュースまで流れていた。  雹も降ったり雷が鳴ったり春の大嵐である。  満開から五日後の本日、仕事は休み。  ダメ元でコンビニで買った軽食を持って、近くの公園の桜の木の下へと足を運んでみる。  うん、やはり枝には花どころか、葉っぱすらない。  はぁ、と、ため息をついて足元をみると、水溜まりや湿った地面に、桜の花びらの絨毯が広がっていた。  上ばかり、咲いた桜ばかりをみていたが、散った桜もまた風流ではないか。  そういえば、こんなに良い天気なのに、公園には誰もいない。  私が子どもの時は、親や友達と一緒にこの公園にきていたのに、人っ子一人いない。  少子高齢化とは言うけれど、これ程子どもを見なくなってしまったのかと思った。  たんに桜のシーズンでもないのに、公園に出かける用事もないからかもしれないが。 --キィ……  風に揺れて遊具のブランコが鳴る。  きっと整備もなれていないだろう、随分と錆び付いている。 --キィ……  私は周りを見回した。  誰も見てない、よね?  コンビニの袋を片手に、若干濡れていたブランコに着席する。  桜目的で来たが、せっかくなので、ここでお昼ごはんを食べよう。  もし人が来たら避ければいいよね?  よくドラマとかで、サラリーマンがワンカップ片手にブランコやベンチに座ってるシーンを思い出した。  私はサンドイッチを食べながらため息をつく。  いつからか、私もそんな大人になってしまったのか、と。 --キィ……  漕ぐまではいかないが、足でブランコを揺らしてみる。  懐かしい音がした。  ブランコ下には桜の花びらがたくさんの水溜まり。  見頃の過ぎたお花見もまた、オツではないか?  嵐の後の空気は、気持ちがよいくらいに清々しかった。
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