祟り

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祟り

山田(夫)が話し始めた。いつの間にか隠れていたはずの山田(嫁)も隣にいた。 二人が言うには村の独自ルールがあるという。マナブ達より前に越してきた山田夫妻は村長に呼び出されこんな話をされたという。 要約するとこうだった。 ◯この村に住む人間には制限があり、増え過ぎれば山の神様がお怒りになり村に祟りがある。 ◯定期的に人間を排除(始末)する必要がある。 ◯排除する側が排除される側にゴーヤの苗を渡し、ゴーヤが育った頃が決闘の合図になる。 そこまで聞いてマナブが口を挟んだ。 「な、なんだそれ!馬鹿げている! 今の時代に祟りだの決闘だのって…。だいたい今どき過疎化対策で若者を田舎に移住させたいっていう市町村ばかりじゃないか。なぜ逆行するようなこと…そんなのありえない!」 「いえ、ありえるんです。 実は…私達もゴーヤを渡されました。それで決闘させられてこちらも必死で…結果止むなく…。」 「あ、最近見かけなくなったご夫婦と?!」 「そうです。しかも村長がその時の音声動画をとっていて証拠を握っているので逆らえないんです…。」 黙って聞いていたさちこが口を開いた。 「なによそれ、許せない!」
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