過去

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◇ 「お母さん!ほら鍋!吹きこぼしてるよ!」 「え?なに? あらやだ!」 慌ててよしこはコンロの火を消した。 「お母さん昨日からなんかへん。 どっか具合悪いの?」 娘のハルカが心配そうに顔をのぞいてきた。数日前から孫を連れて帰省している。 「そ、そう…? たしかにちょっときついわ。 ちょっと部屋で休んでくるわね…」 そういってよしこは部屋をでようとした。 「お母さんなんか雰囲気変わったね。」 背中越しにハルカが言った   「え?」 「まぁとにかく横になってて。 夕飯あたしやるから。」 「え、うん…ありがとうねハルカ。」 ハルカは昔から勘がいい子だった。 危ない。危ない。 昨日は、あわやヘリに乗せられるとこを振り切って帰ってきた。 ヨシオは何をしたかったんだろう。 私に見せたいものって? というより何よ潜入捜査って。 今どき主婦向けママポルノみたいな展開だってそんなのないわよ。 フィフティシェイズグレイはハマって読んだけど…。 ついでに副題つけるならばこうかしら。 〜再会したあの人は世界中を駆けるスパイだった…わたしの青春がもう一度花開く〜 ってバカバカしい。 妄想がとまらない。 なにしてくれたのよあのばか…
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