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「えっと、聞きたい事だっけ?」
「そうだ。」
式浪はこくりと頷き、僕を見つめた。
「姫宮の誕生日が近いらしいな。
…なにを、あげたら喜ぶと思う?
俺の誕生日の時に用意してくれたから、返さないわけにもいかない。
あんたは姫宮と友達だから、わかると思ってな…。」
目をそらしつつ、だが姫宮くんの事を口走った時の式浪は微かに照れていた。
僕は驚く。
姫宮くんと式浪は思ってる以上に進んでいて、お互いを大切に思っている。
胸が酷く痛いけど、不思議と、式浪と姫宮くんなら仕方ない。
そう思わせる魔性が、この男にはあった。
「姫宮くんの好みなら、わかるよ。
ネットで買うんだよね?色々、教えてあげられるかも。」
「助かる。平野、あんたは良い奴だな。」
「…僕は良い奴なんかじゃないよ。本当に良い奴なのは式浪みたいな人の事だと思う。」
別に、二人が上手く行って欲しいからではない。
姫宮くんに喜んで欲しいから、式浪に姫宮くんへの贈り物の提案をするだけだ。
「これで誕生日までには届くはずだ。
本当に、どう礼を言ったら良いのかわからない。」
「気にしないで。」
僕も所詮、全部自分のためでしかないのだから。
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