一目惚れ

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一目惚れ

 「オイ、テメェ、どこ中だ?」  「キミ、俺らにぶつかっておいて、謝るだけで済むと思ってんの?慰謝料(いしゃりょう)寄越(よこ)せよぉ」 突然、変なチンピラに囲まれた。 僕はただの平凡な陰キャだ。 一秒でも早くこの場から立ち去りたかった。 僕は、怯えながら財布を取り出そうとした。 だが、次の瞬間。 目の前のチンピラ二人は、突然誰かに蹴りあげられ、揃って倒れていた。 目を回し、地面を舐めるチンピラ二人。 一瞬の出来事。 何が起きたのか理解出来なかった。    人二人の頭部を蹴るほどの跳躍力。 ただ者じゃない。    「オーイ、お前、大丈夫か?」 呆然(ぼうぜん)としていた僕を、覗き込んでくる者がいた。 僕を助けてくれた相手だ。 どんな人だろうと目を向け、固まる。 そこにいたのはとんでもない美人だった。 肩程度まで伸びた金髪、ぱっちりと大きい、つり目気味の瞳。 長い睫毛、通った鼻、形が良い唇、白い肌。 その子は、はっきり言って超可愛かった。 体格は小柄で華奢(きゃしゃ)だが、手足はスラリと長い。 至近距離で、麗しい顔面が不思議そうにこちらを見ている。 距離感がバグっているようで、僕は思わず、のけ反る。    「き、君が助けてくれたんだよね…? ありがとう、凄いね。 女の子なのに一瞬でこの人達を気絶させるなんて。」  「え?オレ、男だけど。」
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