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だが、二人が大切になるにつれ、私達の中には『ある感情』が芽生えていった。
それはーー。
「どうしよう……ヘンゼル達を生贄になんて、出来ないよ」
そう、彼らを愛しく思えば思う程、私達は彼らを生贄として見ることが出来なくなっていたのだ。
だからこそ、黒ミサが迫ったある日、私と姉は深夜に二人で話し合うことにした。
「ねぇ、リサ?私……あの子達を生贄になんて出来ないわ」
と、リサも私の言葉に重く頷いた。
どうやら、私達の気持ちは全く同じだったらしい。
でもーー。
「あの二人を生贄にしなきゃ、私たちが殺されちゃうんだよね……?」
泣きそうになりつつそう言いながら、自らのスカートの端をギュッと握り締めるリサ。
そうなのだ。
彼らを生贄にしなければ、私達が生贄にされてしまう。
「我儘だけど、どっちも嫌だよ。リーダーとなんとか話し合えないかなぁ?」
リーダーは私達にとっては母親同然の存在だ。
もしかしたら、話せば分かってくれるかもーー。
「……うん。よし、あの人のところへ行ってみよう」
そんな淡い希望を抱いた私達は、そのまま――リーダーの暮らす古城へと向かうことにした。
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