新説ヘンゼルとグレーテル

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最初こそ、寝る時ですらやはり警戒をし、常に私達の行動を逐一観察している様だったヘンゼルとグレーテル。 しかし、数日が過ぎた頃から、彼らの態度に徐々に変化が訪れる。 先ず、私達と交わす言葉が増え、表情にも笑顔が多く見られる様になっていったのだ。 加えて、それから更に数週間経つ頃には、私達と一緒に山へ薬草採りに行ってくれるまでに懐いてくれた兄妹。 特に、年上だからだろうか。 ヘンゼルの理解力は凄まじく、私が教えた薬草をすぐに覚え、私達がいなくても収穫できる様になったのである。 加えて、彼には魔法使いの才能があったのか――箒での飛行や、念じるだけで物を動かす術など簡単な魔術の使用も出来る様になったのだ。 一方、幼いながらも大変家庭的な少女であったグレーテル。 彼女は、日が経つにつれ、私達の家事を積極的に手伝ってくれる様になった。 彼女は特に、家事に使えそうな魔法の覚えが早く、火の無いところに火をつける魔法を愛用する様になる。 まるで、本当の家族になったかの様な、暖かくて優しい日々。 二人と過ごす時間は、私達にとって、いつしかかけがえの無いものになっていった。
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