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そうして、寝ている兄妹を起こさない様にし、リーダーの城へと向かった私達。
しかし、箒での飛行に相変わらず失敗した私達は、正門ではなく裏口に墜落してしまった。
「いたた〜……落っこちたのがあの人にバレたら、まーた怒られちゃうよ」
お尻を擦りながら、私達はよろよろと立ち上がる。
「そもそも、人間……それも、生贄に肩入れして助けたいなんて言い出すなんて……怒られちゃうだけじゃ済まないかもね?」
スカートのお尻の部分をはたきながら、姉のリサがふとそうこぼした。
姉の言葉に、私も小さく頷く。
あの人ーー私達の育ての親でもあるリーダーは、魔女として古いだけではなくとても厳しい人だ。
そして、人間を嫌っている。
それは、昔人間に迫害されたから……。
だから、彼女は今は人間をただの生贄や道具としか思っていないのだ。
そんな、人間に対して一切良い印象を抱いていないリーダーに、生贄の助命を願い出るなんて……我ながら馬鹿げている。
自殺行為だ。
そう、理解はしているけれど。
「でも、やってみなきゃわからないじゃない?」
私は敢えて自分を奮い立たせる様にそう言うと、姉の手を握り、育ての母親の部屋へ向かった。
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